9月5日武蔵野市議会より

 

 かねてから最も基本的で重要な疑問の一つ、なぜ武蔵野市に施設一体型小中一貫校が必要なのか、その答えが先日の武蔵野市議会本会議において教育長より答弁がありました。要約しますと、「小中学生の減少が起こることは間違いない。事前に今から小中一貫校で学校を減らすか、子どもが減ってから学校統廃合で学校を減らすか、どちらかを行う必要がある。」ということでした。

 

■資料1 高野議員の一般質問インターネット中継(録画)註1より抜粋書き起こし

「公共施設等総合管理計画案等について」

 ・公共施設等総合管理計画案について

 ・施設一体型義務教育学校の設置を目指すことについて

 

註1: 武蔵野市のホームページより、市議会→インターネット中継→会議名から選ぶ→平成28年第3回定例会→9月5日本会議一般質問とリンクをたどると録画を観ることができます。

 

質問1:武蔵野市の教育において施設一体型義務教育学校でなければならない根拠が示されていない。

教育長:武蔵野市小中連携教育推進委員会報告書の中では施設一体型義務教育学校が望ましいとされているが、最終的に市教育委員会としてそれを決定したというわけではございません。この報告書の47ページ以降に資料として文部科学省作成の小中一貫教育等についての実態調査の結果が掲載してございますが、施設一体型・施設隣接型・施設分離型の施設形態別の小中一貫教育の成果について全国調査による結果が示されておりますが、その中で比較すると施設一体型がもっとも小中一貫の成果があったとされているところでございます。また、本報告書とは別でございますが、小中一貫教育に取り組んでいる他地区の小中一貫校の視察においても施設一体型の有効性を確認しているところでございます。それらをふまえ、現在、小中一貫教育調査研究ワーキングチームで施設一体型義務教育学校の設置も含めた武蔵野市における小中一貫教育のあり方について検討を進めているところでございます。(答えていない)

 

質問2:小中一貫教育検討委員会の委員・検討の状況・進捗状況について

教育長:小中連携教育推進委員会報告書におきましては、小中一貫教育検討委員会(仮称)としておりましたが、武蔵野市における小中一貫教育を検討する組織としましては本年6月武蔵野市小中一貫教育調査研究ワーキングチームを設置いたしました。ワーキングチームは教育部長を委員長とし、教育委員会教育部の課長職5名とあわせた6名で構成されております。8月までにワーキングチームの会議を5回行いまして、市民意見交換会の進め方や小中一貫教育導入にあたっての検討事項の整理について協議を行いました。今後は教育課程の枠組み・学校の適正規模・学区に関することなどについて調査研究を進めていきます。武蔵野市学校施設整備基本計画策定委員会のほうは、これは小中一貫教育の検討状況の推移をみるため2月以降会議を中断しておりましたが、市民意見交換会の開催を終えましたので、まず、市民意見の内容について報告註2したところでございます。小中一貫教育調査研究ワーキングチームは小中一貫教育にかかる調査事項を研究し教育委員会における意思決定に資するための作業チームでございまして、一方、学校施設整備基本計画策定委員会は今後の学校施設の整備のあり方・標準仕様・改築する学校の順序などについて教育委員会より諮問を受けて答申するものでございます。両者の検討事項につきましてはその整合性を図ることといたします。

 

議員:(質問1)目的に関して(施設一体型小中一貫が)望ましいとか、設置を含めた検討をしているんだ、という答弁だった。毎度、毎度、「決まったことではない」とか、聞いたことに対してちょっとずつずれた答弁が返ってくるですけれども……私が聞きたかったのは、武蔵野市の公教育の現場、武蔵野市立の小中学校、今の小中学生には、施設一体型小中一貫でなければいけないんだという根拠が知りたいんです。

 

議員:(質問2)ワーキングチーム、検討委員会に関しては、設置をするため意見交換会の意見をふまえて、それを解消して、施設一体型の義務教育学校設置するための検討をしているわけですよね?そういうふうに、さっきの答弁でも聞こえる。このメンバーに関してはやはりまた推進委員会と同じような職員のみなさんだけでやって非公開でやるつもりなのか。基本方針を策定する委員会は今のところストップしているということですけれども、これはどういった方が入っているのか。

 

教育長:学校施設整備計画の策定委員会のほうでございますが、こちらは、例えば教育学や学校建築に関する専門家・学識経験者・学校長の代表の方・地域の代表の方・事務局の職員も入ったりしております。(後ほど訂正があり地域の方は入っていない)

 

議員:改めてなんですが、施設一体型義務教育学校が何で必要なんだっていうことに関してさっきもう一回聞いたつもりだったんですけども、なかなかそれに関しては明確に出てこないのがこれまでずっとそうなんですね。(中略)今年の予算特別委員会3月15日の総括質疑の際、このとき初めて公共施設等総合管理計画や小中一貫教育に関する質問が総括質疑の中でもさまざまありました。(中略)(施設一体型小中一貫校を)導入しないといけない理由として教育長は全く違う答弁をしているわけですよね。記憶にないですかね。私じゃない他の委員への答弁なんですけど、その日にいろいろ寄せられた多くの質問に対する総括的な答弁として、小中一貫教育、施設一体型を導入する検討に関して、このように教育長はご答弁をされています。「この答弁というのは、はたして導入することを決定していいのかということをまず検討する段階がある。もし、導入することになれば、それでは具体的にどのようにするかという検討が進んでいく。しない場合には、ではどうするかといったら、後は考えられるのは、例えばこれからの学校施設整備の基本計画の中で単純な統廃合といったことに触れざるをえないとか、そういうことも検討しないければならないと思っています。」と教育長はおっしゃっているわけです。(その後)ちょっとあいだにスケジュール感の話がありまして、それから今後については「小中一貫教育といったもの、これは4月1日から学校教育法の施行によって第1条に新たに記載される学校種である。それについて市民の選択肢が全くない、一切検討もせずに、単なる将来のそういう縮減計画にだけに向かっていくようなことはちょっとやはりできないことだと思っている。」というご答弁をしているわけですよね。小中一貫をやらなければ学校統廃合なんだと。やはりこういうところにこういう答弁が出てくるということは学校(公共施設)を減らさないといけないということに対して、小学校どうしをくっつけるんではあまりに見栄えがよくないので中学校もくっつけましょう、そういうスタートラインじゃないかと、武蔵野市が施設一体型の義務教育学校を設置しようとしていることは、そういうところから始まっているではないですか。一問目の質問に対する再質問として改めてお尋ねしたいと思います。

 

教育長:そのようにお答えしたんだろうと思います。そこでは施設一体型の他に隣接型・施設分離型も含めて小中一貫教育といったものをやはり考えていく必要があるのではないかという形でお答えしていると思う。将来に渡って、もし何もしなければ、先ほど高野議員がご指摘になったように児童数の減というのはかなりの何十年後かもしれませんけども、それは間違いなく起こってくるということが想定されます。そうした場合には非常にさびしい学校になってしまって、都心の一部の区なんかが先にそういう世界に入ってますけども、そうしたような状態なってしまって、結局じゃそれをただ統廃合するというような形になっていくと、つまり教育としては、先手か後手かというのも変かもしれませんけども、結果的にそうなったから、じゃ統廃合という形でいくのか、そうではなくて今からそうではないもっと新しいタイプの学校教育として想定できる範囲の中で再構成していくといったこともありえるのではないか、選択肢として示された以上それをまったく議論もせずにおくというのはやはり教育行政としてはあまりにも無策ではないかという気がするという気持ちでお答えしたつもりでおります。統廃合自体は実は私もそんなに悪く言うこともできないと思います。本当に今申し上げた形でしか統合せざるをえないことは他の地方ではたくさん起こっておりまして、私は別にそれを責めるものでもありません。しかし、武蔵野市がこれまでこれだけの教育を築いてきて、これから伝統の上にたった未来に向かって進んでいくっていう場合には、そういったことに新たな教育の枠組みといったものについてきちんと考えていくことも大事だと。今は時間をかけておりますけども、そういうものを選択肢としてみなさんで検討していただく、いろんなご意見をいただいて、先ほどどなたかのお答えもしましたけども、いろんなご批判をいただいております、それをはたして予防できるのか、修正できるのかといったことを今ワーキングチームが考えていくということになるわけでございます。

 

註2: 質問2の回答で、ワーキングチームから計画策定委員会へ市民意見交換会の市民意見の内容について報告したとありますが、その内容は分かっていません。これとは別に、教職員にもアンケートが行われています。この扱いについても不明です。

 

■資料2(おまけ) 文科省通知註3では学校統廃合について

 小中連携教育推進委員会報告書に資料として添付されている文科省からの通知では、「義務教育学校の制度化の目的は、(中略)小中一貫教育の実施が有効と判断した場合に、円滑かつ効果的に導入できる環境を整備するものであり、学校統廃合の促進を目的とするものではないこと。」とあり、義務教育学校が学校統廃合のためのツールに成りえると読取れます。さらにこう続きます。「今後、少子化に伴う学校の小規模化の進展が予想される中、(中略)小学校・中学校を統合して義務教育学校を設置することは一つの方策であると考えられるが、(後略)」とあり、今度は読取らなくとも普通に学校統廃合に使えると書いています。

註3: 該当部分は報告書の30ページにあります。